教えるのが難しい「非定常作業」をVR化。ベテラン不在でいつでもどこでも学べる環境を実現
本活用例のポイント
- OJTによってベテラン社員から習得していた標準作業や非定常作業を含む点検・保全業務の手順書をVRで実現
- VR映像の素材を撮影できる機会が限られるため、部署ごとに年間計画を立てて教材を制作
- ただ作業手順を360度カメラで撮影するだけでなく、実際の現場ならではの周囲の様子や音なども収録し、臨場感あるVR映像を作成
当社のorishia VR-learning(以下、VR-learning)でVRコンテンツを内製化し、現場業務に生かす取り組みを紹介する本コラム。今回は設備点検・保全業務における標準書の代替となるコンテンツにVRを活用するメリットをご紹介します。
作業内容が複雑な設備関連業務でノウハウ伝授が課題に
企業が保有する設備は重要な資産であり、事業価値を生み出す源泉でもあります。従業員や施設利用者の安全を確保するためにも、その状態を万全に維持しておくことが欠かせません。製造業や社会インフラ系の事業者をはじめ、多くの企業が専門部署を設けて設備の点検・保全業務に当たっていますが、その技能伝承を課題に感じるケースもあります。
一口に設備と言っても、そこには多彩な機材が含まれており、点検・保全業務で要求される知識や技能も多種多様です。また、作業によっては高所で行う場面や、極端な高温や低温の環境、高電圧や危険物を扱う設備など、さまざまなリスクや制約も伴います。
多くの場合、標準的な作業手順や安全上の留意点などを紙ベースの資料にまとめ、熟練者を講師として若手に伝授したり、言葉で伝わりにくい部分はOJTを通じて訓練したりしていることでしょう。とはいえ、異常処理や障害復旧のような非定常的な作業は機会がそもそも多くないため、OJTとしては実施しづらく、若手に経験させることが難しいのが現実です。
安全や安定稼働に欠かせないとはいえ、多くの企業にとって設備担当部署は慢性的に人員がギリギリというケースも少なくありません。業務に追われる中では、熟練者が培ってきた安全かつ確実な作業を効率的に行うためのノウハウを、しっかり若手に伝授していくことも、かなり困難なことです。
また、ある熟練者のノウハウが必ずしも別の熟練者と共通であるとは限らず、標準化という観点からも課題があります。熟練者は高齢化に伴い次々に退職してしまうため、対策は急務と言えるでしょう。
計画的にVR教材を制作。部署間の連携で標準化も推進
そうした課題を乗り越えるため、ノウハウ伝承の教材をVRコンテンツとして作成する手段があります。ある航空関連企業ではVR-learningを導入し、設備点検・保全業務の教材としてVRコンテンツを制作・活用しています。
この企業では、トップダウンでVR-learningの導入を決断したとのことです。臨場感ある現場のVR映像を撮影、編集して教材化するまでの作業を、社内の人材で比較的容易に行えるといった点が決め手になりました。現場での作業には多くの制約があるため、OJTでの訓練を行う機会は限られますし、非定常作業であればさらに頻度は下がります。しかし、いったんVR教材を制作しておけば、短期間に繰り返し体験することができるというわけです。
現場作業の様子を安全かつ確実に撮影できる機会が限られるため、この企業では部署ごとに年間計画を立てて教材を制作しています。撮影は実際の作業現場で行い、周囲の様子や音なども収録し、臨場感あるVR映像にするよう心掛けているそうです。
非定常作業の貴重な予習機会を増やすことに成功
こうしてVR教材のコンテンツを制作したことで、OJTでは実施機会が限られるような指導内容でもリアリティのある指導が可能になり、もちろん繰り返し頻繁に体験することが可能です。危険を伴う作業もありますが、VR教材なら安全な状態で視聴できますし、あらかじめ想定される危険を理解しておくことができ、安全教育の効果も得られます。また、体験する機会が限られる非定常作業も、VR教材化により貴重な予習の機会も得られるようになりました。
熟練者による非定常作業の様子を収録したVR教材は、会社にとっても貴重な財産となります。VR教材の形でノウハウを蓄積、組織全体の財産として部署間でも共有すれば、標準的な手順や豊富なノウハウを全社的に徹底することができます。これにより、新たに入社したり他部署から異動してきたりした人材でも、早期に現場戦力として活躍できるようになると期待されています。
なお、このVR教材制作を通じて、熟練者の間でも作業手順が異なる場合があることがわかったそうです。標準の手順書を元に部署ごとに伝えられてきた手順が、いつしか変化していたのかもしれません。そうした箇所を是正し、全社的な標準化を推進できたという点も、VR教材制作ならではの副次的な効果といえるでしょう。
VR-learningの教材イメージ


ビジネスエンジニアリング株式会社
ビジネスエンジニアリング株式会社(B-EN-G)は、製造業を中心に運輸・通信・金融・各種サービス業等幅広い業種にわたり、コンサルティングから、システム構築、運用・保守まで一貫したサービスをご提供し、お客様のビジネス革新を支援しております。
- 労災事故をリアルに再現して危機意識向上
- 脱マンネリ化!能動的な体験による危険予知訓練(KYT)
- 教えるのが難しい「非定常作業」をVR化。ベテラン不在でいつでもどこでも学べる環境を実現
- VR映像でOJT教育に近い実践的な新人教育や安全教育を実現
- 熟練者の作業手順や視点の可視化による技術継承への活用
- 危険疑似体験のVR教材を制作して従業員の危険回避能力を向上
- 安全を担保する作業マニュアルをVRで自社制作して効率的な安全教育を実現
- 教育機関における現場実習の補助教材としての活用
- バーチャル職場体験で求職者とのミスマッチ防止に貢献
- 業務にまつわる技能資格などのVR教材を内製化 学習効率を高めて合格率アップ
- 技能講習や資格試験学習へのVR教材の活用
- 経験の機会が少ないトラブル対応の手順をVRで教育
- VRによる実写映像を活用した身近な場所の防災教育
- 看護や介護の演習をVRで再現して実習機会の不足を補う
- ヒヤリハット活動のVR内製化で従業員が自ら危険に気づき改善策を考える環境を整備
- 多言語対応VRによる安全指導で言葉の壁を解消し外国人労働者への教育を効率化
- 一般向けの工場見学をVR化して現場の安全確保と案内業務の効率化を同時に実現
- 「接客の仮想体験」をVR-learningが実現、疑似OJTでスキルを効果的に習得
- 機械操作や車両運転の技術研修をVRで再現して実機不要の安全な反復練習を実現
- 研究者が実験手順を効率的に習得できる仕組みづくりをVRで実現